お墓を建てる場所
現在、亡くなった方を埋葬するための「お墓」は都道府県知事の許可を得た『墓地』にしか建てることが出来ません。これは1948年に施工された“墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)”によって骨の埋葬は墓地以外の場所に行ってはならないと定められているからです。
では、お墓はどこに建てるのが良いのでしょうか?
実際には、「自分の家の近くがいい」というご要望が多いのですが、最近では「見晴らしの良い場所」や“海”や“富士山”の見える場所など、個人の希望で特定の場所を選ばれることもあります。しかしながら、お墓はお参りしてもらうものでもあります。
お墓の承継者や子供たちがお参りしやすいように、親族の利便性も考えた方が良いのではないでしょうか?このように、お墓は「家」と同じで様々な要素を考えて建てる場所を決めるべきなのです。
「公営墓地」「寺院墓地」「民間霊園」の違い
そして、墓地には大きく分けて公営墓地、寺院墓地、民営霊園の三つがあります。これらは宗教や管理体制、立地や価格など、さまざまな面で異なる特徴を備えています。
公営墓地
地方自治体が管理・運営している墓地です。そのため信頼度が高い上、一般的に永代使用料や管理料が低めに設定されており、人気があります。特に関東近郊では募集以上の応募があることが多く、ほとんどが抽選で決定しているようです。
ただ、募集に際しては購入者の居住地や遺骨があることなど、いくつかの条件があります。また一般の人には申込み手続きが面倒なこともあり、その石材店から墓石を購入することを前提に石材店が申込みの代行を請け負うこともあります。
宗教に関しては「宗教・宗派ともに問わない」ことになっており、法要などの制限もほとんどありません。
広大な敷地の墓地が多く近隣の憩いの場となっている墓地が多い反面、交通アクセスの問題やお彼岸時期の道路渋滞などの問題もあるようです。
寺院墓地
多くは、お寺の境内にある墓地のことで、そのお寺の檀家の方々のために造られた墓地です。
そのため新しく購入する場合は、そのお寺の檀家になることが条件になっていることがほとんどです。その場合、入檀料がかかることもあります。
檀家になると、そのお寺と永い付き合いをしていくということで、各種法要の他にも「施餓鬼(せがき)」などといったお寺の法要や行事に出席することなどの条件がある場合があります。
このように墓地を管理する側と購入する側の結び付きが比較的強いのが寺院墓地の特徴といえます。
民営霊園
お寺が経営主体となり、財団法人や社団法人などが実際の運営をしている霊園です。
近年、核家族が増えたことや宗教観の多様化などから従来の墓地では対応しきれなくなった結果造成された霊園で、明るい雰囲気のところが増えています。
購入者のニーズや地域性を考え、駐車場や管理事務所などの施設が充実しているところが多く、申込み時の条件や宗教制限などもありません。
また、生前に購入すること(寿陵)も可能です。
お墓を建てる時期
仏教では、「過去・現在・未来」でものごとを考え、これを合わせて三世(さんぜ)と言います。そして一番大切なのは現在=現世(げんせ)で、過去でも来世(らいせ)でもありません。こうした生きている人を基本にした仏教本来の考えでは、お墓をいつ建てたらよいかという決まりごとはなく、宗教観が多様化している現代社会では、その傾向は顕著に現れています。
しかし一般的には遺骨はあまり長く自宅に置かない方が良いので四十九日の法要前後に納骨を行うことが多いようです。
生前にお墓を建てる「寿陵」「生前墓」
また、お墓を建てるというのは経済的にも労力的にも大変なことですし、家族や親族とも相談して取り決める要素も多いのが実状です。
そこで、「子供など残された者に負担をかけたくない」「自分らしいお墓が建てたい」という考えの方が生前にお墓を建てることが増えてきています。
これを“寿陵”または“生前墓”と言い、墓石の側面にお名前が朱色文字で書かれてある墓所が寿陵のお墓です。
生前に建墓するわけですから場所(霊園)や墓所のデザインをはじめ、墓石に刻む文字にも、自分らしい人生観を反映することが出来るうえ、ご予算に応じて納得のいくお墓をじっくり考えられえるというメリットがあります。
また、寿陵墓は必ずしも自分達だけの墓ではありません。現在自分の家庭に仏様は無くても、誰にでも先祖があるのです。その先祖のお墓が遠隔地などの場合、そのお墓の土を少し持って来て寿陵墓に祀る事によって、そこで先祖の墓参り、つまり先祖供養が出来るのです。